明日菜とアスナ。

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 さて、アスナについて、です。
 実はマガジンで一部とばして読んでる部分があるので、彼女について語るのは怖いところがあるのですが、とりあえず26巻までの時点での話として書きます。

 キャラクターの位置づけからいけば、「魔法先生ネギま!」の女性キャラクターの中で最もメインヒロインに近い位置にいるのは彼女でしょう。
 元々、真面目に考え込み過ぎて目標を失いがちなネギを常に(必要に応じて)肯定し、時に厳しい意見を投げかけることにより、ネギのモチベーションを存続させる、という意味で物語上重要な役回りを占めていた彼女です。
 内省に偏りがちなネギを肯定する、という役回りは、このかにも務めることが可能なようにも見えましたが、彼女の場合は、相手が倫理的に極端に間違っていなければ、それだけで全肯定してしまいそうなので、よっぽどネギが暴走してしまわない限り放置してしまいそうに映ります。
 逆に、誰も手出しが出来ない状況までネギが暴走してしまったら、生命をかけて止めようとするのが木乃香だとも思うのですが。見てみたいなあ、そんな木乃香……。
 木乃香は、そういう極限状況に陥らない限り、完全安定なキャラだと思いますので、いろいろと迷いがちなネギとは、あんまり深くかみ合わないという感じがあります。日常劇でネギのそばにいる分には差し障りのないキャラだと思うのですが。

 それに比べて、明日菜は、ネギの行動に対していちいち全力で反応する、いい意味でお節介な性格をしているので、常に一段深く関わりやすい相性になっています。

 千雨(血冷めと変換されたw言い得て妙w)の場合も、ネギの行動にツッコミを入れたがるタイプですが、全力でネギのことを思ってツッコミを入れるアスナに比べて、千雨の場合はより中庸ないし、自分の価値観を固持する立場から物を言う感じがするので、参謀的立場としては機能するのですが、ネギの人格への影響はより少ないと感じるのです。

 神楽坂明日菜として、充分にメインヒロインの位置を確保出来る上に、彼女はまた、魔法世界の人間であり、なおかつ魔法無力化の能力をもつ、ウェスペルタティア王国の「黄昏の姫御子」だったりします。
 でネギの母、アリカにとっては叔母に当たるのではないか、と思われます。個人的にはアリカの姉、という設定が一番燃える(姉は、その特質的な能力を効率的に運用されるため、人格を持たぬ人形として育てられる。その事実を全て受け止めて、凡人であるがゆえに王位を継ぎ、世界最高の栄誉を得た妹は、その後の姉の暴走時に、後ろめたさから、決断を躊躇し、止める機会を逸して、「広域魔力消失現象」を発動させてしまう。そして、彼女は自ら「災厄の女王」の汚名を被ることとなる……我ながら妄想入りすぎ)のですが、それだとネギとの間の血が濃くなり過ぎるため、二人の行く末の可能性に限定がかかってしまうので、可能性は低いと思います。
 大叔母だとしても、ネギと親族であることには変わりありません。

 でなおかつ、記憶を封じられる前のもう一つの人格がまだ残っているっぽいわけですね。
 フェイトが言っていました。
「元々 彼女の魔帆良学園での8年間は―― 偽りの人格 偽りの記憶 「人形」の上に貼り付けられた薄っぺらな偽りの人生に過ぎ…」(222時間目)

 アスナとしての彼女自身の記憶を取り戻す、その時に彼女の人格はどうなるのか、彼女は全てを失うのか、それとも全てを得るのか、興味はつきません。

 おそらくは、彼女は、明日菜の人格を維持したまま、アスナの記憶を取り戻すことにより、自分が祖国を滅亡へと追いやった大罪人だと初めてはっきりと自覚するのでしょう。
 かつてアスナでしかなかった時は、それを罪だと感じる価値観は彼女になかっただろうから。
 
 「君は君自身の罪の重さに耐えきれるのかい?」(234時間目)

 どんな時にも自分を曲げることがなかった明日菜。その強さを知っているだけに、彼女が、自分が引き起こした災厄の大きさを知ったとき、どう壊されるのか、それともどう乗り越えるのか。赤松さんの描く「ネギま!」だから、当然後者のはずですが。さてどうなるのでしょう。

 彼女に関しては幾ら妄想しても妄想しきれません。もう数え役満の域ですよ。こうなってくると。