グイン・サーガ三國志の現況。

グインサーガ最新126巻まで読めました。

 123巻「風雲への序章」にて、いよいよ三国志開幕、との話だったので、三国と見なされる国々(パロ・ゴーラ・ケイロニア)の現況を簡単にまとめてみる。

黒衣の女王 グイン・サーガ126 (ハヤカワ文庫JA)

黒衣の女王 グイン・サーガ126 (ハヤカワ文庫JA)

パロについて

国力
 内乱で極限まで疲弊。ケイロニアに財政援助を受け、なんとかやっていけているらしい。首都中枢にケイロニア軍を駐留させるなど、占領統治されてるのと実質は変わらないようにも見えるが、独立は維持し続けている。

人材
 内乱で重要人物がほとんど死亡または職を退く。実質ヴァレリウスとヨナで全てを切り盛りしている状態らしい。その下の役目の人物がほとんど描かれないので、読者から見てもそう見えてしまうのが悲しい。実際にはパロ国民は何百万人もいるはずなので、多分二、三十人がかりならヴァレリウスの政治面の補佐を出来るだけの人材はいるはずなのに、この先しばらく活躍の場は与えられそうにない。
 ただ、魔道師宰相という有り得ない立場に立ってしまったヴァレリウスは、実質ほぼ何でもあり状態なので(実際魔道十二条の禁止事項も厳密にはいくらか破っているとの話だし)彼の体力の続く限り、愚痴の続く限り、パロは安泰な気もしないではない。
 グラチウスやヤンダル、アモンが再度現れない限り大丈夫だろう、たぶん。

戦力
 パロ聖騎士団は内乱で戦力として半減以下に?
 聖騎士侯筆頭が二十歳そこそこのアドリアンなのは、まぁいいとして、他の主要な聖騎士がみんな十代というのが悲しい。本当にそこまで見事に全滅したのか疑問なのだが、どうやら事実らしい。しかもその十代の中に未だ天才的な人材は見つかっていない。悲惨だ。
 内乱時に、パロの兵は、同数の兵でも他国より脆弱であるという格付けがされてしまう。昔はそんな弱くなかったはずなんですけど、この格付けはしばらく覆りそうにない。

  ちなみに、兵質ランキング(一部偏見あり?)
竜の歯部隊>黒竜騎士団=グル族>他のケイロニア兵>旧カメロン配下>旧モンゴール兵=クム兵>紅い街道の盗賊>旧ユラニア兵>>>>パロ兵
竜の歯部隊を中核とした黒竜騎士団1万をグインが率いていたら、パロ聖騎士団が例え5万動員出来たとしても、イシュトヴァーンが率いていたとしても、まともにぶつかれば前者の圧倒的勝利でしょう。それぐらいの差を、描写から感じてしまう。

統治者 リンダ
 懸命に財政立て直しを図る。他国には無関心。というか、それどころではない。おばさん疑惑を振り払うのに必死というのはうがった見方なので止しておこう。本人曰く、性格の本質は地味らしい。端から見ている分には、けなげな女王様であり、求心力はかなりのもの。本人自身に政治的手腕がなくても、周りを動かすことが出来るので、象徴的統治者として、パロの復興には無くてはならない人材と言える。


ゴーラについて

国力
 度重なる出兵で疲弊、らしいが、次の収穫期が来てなんとかやっていけそう、らしいのでパロよりはよっぽどましな状況だと思われる。

人材 ユラニアクム中枢の大虐殺に、モンゴールの内乱がかさなり、やはり人材は残らず消え失せているらしい。政治のこなせるのはほぼカメロンのみらしい。でも、イシュト曰く、「十人がかりならカメロンの代わりが出来る奴もいるだろう」とのことなので、それが本当ならば、捨てた物でもないのかも。

戦力
 イシュトが経験を生かして、軍を編成し、鍛えているため、それなりに練度は上がっているようだ。ただ、こっちも武官はほとんど不良少年あがりの連中ということで、能力的には未知数。
 旧カメロン配下のマルコやブランらがいるのが救いか。
 一応二、三万は動かせるみたい。兵自体は数万〜十万くらいいるイメージ?

統治者 イシュトヴァーン
 武人王、だが、首都イシュタールの建設を手がけるなど、政治的、行政的な手腕も少しずつ身につけている様子。
 隣国パロの窮状を見てもすぐに攻め込まない辺りは成長したようである。
 今は、リンダをくどき落として結婚し、合法的にパロを手に入れようと画策中。成長……したんだろう、きっと。


ケイロニアについて

国力
 とにかく充実。近頃サイロンに発生した黒死病の影響がどのくらいあるかだが、「七人の魔道師」で描かれた程度なら大したことないかも、と思わせるほど充実している。

人材
 充実 若返りの時期のようだが、ほとんど名前しか出てこなかったアルマリオンと、話の長い犬好きのギランが退任しても、アウルスは残っているらしく全然問題なさそう。 ハゾス、ゼノンと文官、武官的な役割の要になる人材が若いのも特徴。
 オクタヴィアはどうやら普通のお姫様になってしまうようですが、それも別に問題無し。

 余りに問題なさ過ぎて、全ての問題はお前のせいだと押しつけられるシルヴィアが哀れであるが、本人が言い訳できない状況をガンガンつくってしまうので自業自得としか受け取ってもらえない……。


戦力 各地防衛の十二選帝侯騎士団に加え、十二神将騎士団、さらに王直属んお騎士団を持つ。総兵力は、仮に各1万としても25万。少なくとも一度に数万を動かせると思われる。あの世界だったら下手すりゃ二十万近く動員出来るかもしれません。圧倒的。

統治者 グイン 
 圧倒的(笑)。人望厚い、知勇兼備の豹頭王。システムの近代化を図る。
 彼のネックは妃のシルヴィアだけと誰にも目されている。


 こうして比べてみると、正直、魏呉蜀よりケイロニア、ゴーラ、パロの国力差の方が遙かに大きいと思われます。ケイロニアが突出しすぎ。パロが疲弊しすぎ。例えゴーラとパロが手を組んでケイロニアに立ち向かったとしても(現時点でありえないけど)完敗をくらうだろうという現状では、この三国の間の戦は絵にならない気がします。
 裏ジョーカー的な存在のスカールもグインに好感を持って、イシュトは宿敵だし。
 その状況補正に黒死病が使われるとしたら、地獄のような悲惨な描写が延々と続くかもしれないと、少し怯えています。
 他の状況補正の可能性としては、ぐらちーがイシュトを操るパターンも今後あるかもしれませんが、多分それが一番盛り上がらなさそうな展開なので、多分ないと信じたい。ないでしょう。
 となると、グイン三國志の華々しい戦いは、まだまだ何十巻も先の話になるかもしれませんね。