第3回海燕オフ報告書(その1)

9/20に海燕さん関連のオフ(第3回)が東京であったので参加して来ました。

参加者は海燕さん、ペトロニウスさん、sさん、平和さん、烏蛇さん、いずみのさん、からすとうさぎさん、私こと「かんでたくま」、計8人。

 南総里見八犬伝ではないですが、八犬士勢揃いみたいで圧巻でしたです。皆さん博識で、それぞれ独自の世界を持っておられていろんなお話が出来て面白かったです。

 ちなみに海燕オフに3回連続で参加したのは海燕さんを除けば、私だけということらしいです。
 よっぽどファンなんだなと再認識。

 さて、その内容ですが、まず外せないのは「グイン・サーガ」の話題ですね。新宿の落ち着いた雰囲気の喫茶店で、海燕さん、ペトロニウスさん、私、sさんの4人テーブルで行われたのですが、sさんはグインを未読。おかげで3人だけで突っ走ってしまいました。
 海燕さんもペトロニウスさんもおっしゃってましたけど、「グインの話がこんなに通じて共感できるのは初めてだ」 私も心からそう思いました。
 厳密に言えば、海燕さん、ペトロニウスさんのお二人がより近く、私は若干別の立場を取って話をしていたのですが、結論としては、その違いは些末なものだと感じました。

グイン・サーガの世界は「ある」んですよ」
 ペトロニウスさんのこの言葉は衝撃的でした。
 そう、そうなんですよ。うなづくしかありませんでした。グイン・サーガの魅力の本質はまさにそこにあると思うのです。あの世界は本当にある。そう感じる、とかではなくて、ただ事実として「存在する」のです。
 中学生の頃、グイン・サーガを読み始めた頃の僕は少なくともその感覚を実感していた。その後、約10年間に渡って。
 それは、他で得ることのなかなか出来ない感覚でもあった。そして、私はやがて、その世界に接続することが出来なくなった。それはリテラシーの問題であり、栗本薫さんのサイトを直視してしまったトラウマのせいでもあり、現実世界で私が経験したショックのせいでもあると思う。そして勿論、文体の変化、「短期的な」主題の変化もあった。
 私はグインを読んでも以前のように評価できなくなってしまった。私はそれが辛くて読むのをやめてしまったのですよね。

 海燕さんにも以前グインの小部屋で指摘されたことがあったと思います。今回も話題にでましたが、グインが後半エンターテインメント性に欠けることを持って非難することは、見当違いである、という話。世界を写し取る、というのがグインサーガの主題であるのだから、という話。
 今回、ペトロニウスさんと海燕さんのお話を聞いていて、私は自分の立ち位置が明確に解ったような気がしています
 私は別にエンターテインメント性に欠けるからグイン・サーガの後半を積極的に非難しているわけではないのです。むしろ、そういう立場に対して批判的です。
 私はただ、自分がグインの世界に常時接続できなくなったことに対して絶望していたのです。
 そして、海燕さん、ペトロニウスさんはお二人とも、今もなお、常時接続状態を保っていらっしゃるのですよね。本当に羨ましい、です。
 ペトロニウスさんは「信仰だから、仕方ないでしょう。少しばかり欠点が見えたって、気になるわけないじゃないですか」と仰っていました。
 私も、かつては栗本薫さんを信仰していた、そのことを思い出しました。
 崇拝と呼ぶのが正しいような感覚。
 それを持っていたからこそ、無くしてしまった自分が辛くて、読むのをやめてしまったのですよね。グインは5冊ほど貸し出し用のを買って友人等へ貸し出ししまくってましたので、まぁ私も布教していたようなものだったのですよね。
 だのに、グインの本質をきっちりと受け入れることは出来なかった。

 ゲーム「SWAN SONG」で新興宗教の教祖たる乃木妙子が、自分が信じて教徒に対して説いていた教義が実は何の根拠も無かったこと、自分が何も知らない小娘だったことを母に暴露され、子供のように泣き叫び、嘘と知りながらさらに教徒を先導し続けようともがく苛烈なシーンがあるのですけど、まさに私もそういう心理状況だったわけです。

 栗本薫さんは神ではなかった。それでも、グイン・サーガという作品は確かにWORK、神のつくりし物だった。
 そのことを思い出すことが出来たのは物凄い快感でした。そう、まさに、妙子が、幼き日に、本棚に囲まれた暗い部屋の中で包まれた、あの輝きを思い出したように。

 私はグインに絶望を感じた後、エヴァに世界を感じ、また突き放され、そして「AIR」にて再び世界と一体化する快感を得て、救われることになるのですが、またそれは別の話になりますね(その経緯は以前に書かせていただきましたし)

 そんなこんなで3時間ほど延々とグインについて話しました。
 楽しかったです。
 で、それ以外にもいろいろと話をしたわけですが、次回へつづく、ということにします。