サマーウォーズ FAQ

細田守監督の映画「サマーウォーズ」についてよくある質問に勝手に答えるコーナー




Q1 サマーウォーズのメインターゲットはどんな層ですか。

A1 基本的には「時をかける少女」を観たような層に向けて、でしょうけど、大家族を描くことによって、より幅広い層をターゲットとしていると感じます。



Q2 キャラクターの動機がわかりにくいのですが。

A2 そうですね。びっくりするぐらい描かれてないことはたくさんあります。その辺りは視聴者の方で解釈するしかないですね。
   ちなみに小説版だと、夏希と物理部のつながりとか、健二の家の話とか、数学オリンピックへの取り組みの話にも触れられていますので、その辺の説明が無いのが気になった方には一読をお薦めします。ちなみに健二がジャンケンに勝つことは、両者の対戦の過去の実績の分析に基づいて、健二が選び取った選択だったようです。佐久間が何を出すか、ほぼ確実に予測して、その上で勝利を選んだらしい。その辺はアニメでは描かれていませんが。


Q3 夏希先輩はヒロインとしてどうなんでしょう。

A3 ヒロインに求められるのは何か、というのは物語の主題によっても変わってくるところだと考えます。サマーウォーズの主題は、現代社会における人と人のつながりについてもう一度見つめ直すことにあるでしょう。
 世界、あるいは社会の中で、自分の持った能力をいかに駆使し、如何に生きるか。その問題意識を持って能動的に行動しない限り、得られるはずのものも手のひらをすり抜けていく。
 逆に、物事を成し遂げようと正面から取り組んでいけば、成功することもある。自分の能力を発揮する場を得ることのカタルシス。それがこの映画の魅力と言えるでしょう。
 それは、健二のみでなく、侘助にもカズマにも、他の多くの登場人物にもあてはまることだと言えるでしょう。
 それらの登場人物たちの集合体である群像こそが、この映画の主人公であったと言えます。
 夏希もその一人だと考えます。
 敬愛する栄が愛した、陣内の一族、家族を守りたいというミクロの欲求と、世界を襲う未曾有の大災害を未然に食い止めるべきだ、というマクロの要求に突き動かされて、夏希は、ラブマシーンとの対決に臨みました。
 そして夏希は彼女のベストを尽くします。しかし、理想的な結果は得られなかった。
 結果的とは言え、彼女は、他の誰にも代わってもらえない、大きな責任の重圧を経験することになります。
 だからこそ、その直後、健二が同じ重圧を受けながら、力を出し切り、より望ましい結果を勝ち取る姿を見て、彼に対して初めて大きなプラスの感情を抱いたのです。侘助の代替としての存在ではない、健二そのものを夏希はそのとき初めて、自我に近いレベルの存在として認識しました。
 それもまた、ひとつの成長であり、物語の主題の一部として意義あるものだったと考えます。