あなたは何を信じますか?

神のみぞ知るセカイ 1 (少年サンデーコミックス)

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神のみぞ知るセカイ 2 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 2 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ」2巻読了。

個人的評価 9  客観的評価 8


 この物語は、美少女ゲーム内の女の子のみを信じて生きる少年、桂木桂馬の物語である。

 この作品の面白いのは、そういういわゆるオタク的な嗜好について、桂馬は全く後ろめたさを感じていないところです。
 

「ボクは現実の世界なんてなんとも思っていない」

 そう語る彼の目は、その言葉が真実であることを饒舌に伝えていた。

「だってボクは…… ボクの信じる世界がある!!」

 桂馬は現実の世界に生きながら、その自分の生きる世界に対して何の興味も持っていないのだ。

 まぁ、現実にはほとんどあり得ないことなんだけど、お話として提示されるといろいろと興味深い。

 というのは、「エロゲ愛好者」に対する、非「エロゲ愛好者」の持つイメージのひとつの典型は、この「桂木桂馬」に近いものではないだろうか、と感じるわけです。

 ちょっと考えれば、そうでないことはわかるだろうと思うのですが、そういう偏見は厳然として存在すると感じています。

 さらに、桂馬は、たまたま物凄い洞察力を持った天才なのですよね。

 どれぐらい凄いかというと「キャットルーキー」の九條数真ぐらい凄いのです。マジで。



 「恋愛ゲーム」で得た知識を元に、現実の女の子と恋をしてその心を奪っていく、などと書くと、なんだ、ただのギャルゲオタの妄想かよ、ぷげら、と思われるかもしれませんが、

 彼は、超人的な努力により、数え切れないゲームをクリアし、その内容を系統立てて整理し、綿密に分析し、現実の事象の解析に的確に引用するのです。

 その様は「Q.E.D.」の燈馬くんをすら思わせます。実際、物語の構成は「Q.E.D.」に似通っている所もあり、興味深いです。

Q.E.D.証明終了(31) (講談社コミックス月刊マガジン)

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 桂馬にそういった天才性があるからこそ、物語の展開に、一定の説得力を感じることができるのですよね。こんなおバカな設定なのに。

 その辺が面白いですね。

 決して傑作とはいい難い作品ですが、私は大好きです。

 特に2巻はヒロイン二人が好みの系統の女の子だったので、個人的によかったですね。

 なんせ、一人目は「萩原雪歩」系のアイドルで、二人目は「CLANNAD」の一ノ瀬ことみと「AIR」の遠野美凪を足して2で割ったような文学少女です。

 いや〜幸せですw。

 閑話休題

 この物語は、あるひとつの問いかけを常に行っていると感じるのですよね。

 そう、「あなたは何を信じますか?」と。

 答えられる人は幸いですよね。