「SWAN SONG」

今日のラジオのお題。

私も台詞等を抜き出してみる。

「これ、素晴らしいですね。本当に素晴らしい。みんなここで死ぬんだ。これが最良の結論なんです。小難しいややこしい問題も、苦しみも、不幸も、人間が死ねば消えてなくなるんですよ。いやなものって結局人間の脳みそのなかにしかないんですからね。全ての人間が死んで、全ての脳みそが壊れれば、苦しみも哀しみもないピュアでシンプルな世界だけが残るんです。人間みたいな中途半端な場所であがき続ける可哀想な存在はどこにもいない……カンペキで、理想的だ……そう思いませんか?」

哀しすぎる結論……。


 彼の背中に手を伸ばし、抱きかかえました。すると、腕にべっとりと生温かい血が付着しました。
「尼子さん、こんな……」
「違います。それは僕じゃないんです……」
 尼子さんの視線の先を見ると、黒いものが瓦礫に押しつぶされて、たくさんの液体をしみ出させていました。
「くそ」
 そのとき私は、彼が他のどんな感情でもなく、怒っているのに気がつきました。
「馬鹿にしてやがる」

 どんなひどい目に遭おうと、感情を昂ぶらせることのなかった彼が珍しくはっきりと怒りを見せた場面。