AIR3話をもう一度見てみた。

やっぱこのアニメのシナリオはうまい。

例をあげてみる。

美凪の、「どんな人にも辿りつきたい場所があると思います。」の直後、みちるが美凪を呼んで、美凪が「今行くわ。」と立ち上がる。もう一度聞くと微妙に嬉しげなんですよね、この時の美凪
みちるの元が美凪の辿り着きたい場所である、とさりげなく暗示されてます。

そして、同時にその辿り着きたい場所がどこか、というのは往人の根本的命題でもある。
彼自身の課題でもあるし、現在近しい観鈴、佳乃の直面している問題でもあるからだ。
観鈴、佳乃を往人は理解しようと努力している。それはまた、観鈴の思いと対を成している。
「辿り着きたい場所……」と往人のセリフを重ねることによりそれが自然に表現されている。

辿り着きたい場所とはどこなのか……。

そしてその解答が出ぬまま、ラストまでなだれ込む急展開を見せる。これが次回への期待を見事なまでに煽ってくれているのだ。

観鈴についても美しい。
私的解釈でいくと、
たまたま空の上の少女のイメージを共有していた。だから思いがけず二人の間には絆が出来つつある。だけどそれは観鈴の意図したものとは違っていた。
観鈴はただ、純粋に世間一般でいう友達が欲しかった。
でも往人に対しては、いきなりそれとは別の関係が出来てしまった。
その状況に違和感を持ちつつも対応しきれていない。


例えば、観鈴が恐竜が何故好きか、とか、往人にとっては日常会話なんだけど、観鈴にとってはそれは根本的な重要命題であったりする。
だから、そこから夢の話につながって、そしてどんどん自分を語ることによって、さらに観鈴は往人に引き寄せられていく。
でもまだ、観鈴はそれが、友達と付き合うということなんだと思いこんでいる。

その辺りの登場人物間の関係に対する認識のギャップがほぼ全編通して丁寧に描かれている。
その辺が凄いんですよ、全く。